コラム
無予告調査の対処法
2022年7月12日
こんにちは。安城市にある太田和之税理士事務所です。
今回は税務調査の中でもトラブルに発展しやすい「無予告調査」の要件とその対処法についてお話ししたいと思います。
無予告調査とは
税務調査の開始の仕方には大きく分けると2種類あります。
1つは、事前に「調査に行きますよ」と予告される通常の調査。税理士が関与している場合は税理士に連絡がいくことになります。
もう1つが「無予告調査」と呼ばれるもので、予告なくいきなり税務署がやってきて税務調査が始まるものをいいます。
無予告調査は一般的には飲食店等の現金商売の方々に行われます。
これは現金を隠されると不正を見つけることが難しい業種だからと言われています。
無予告調査の要件
この無予告調査、以前は法的な要件は無く、税務著の勝手な判断で予告するかしないかを決めることが出来ました。
しかし近年法改正があり法定化されることになりました。
この無予告調査を実施するための要件は通達上下記のようになっています。
(1) 事前通知をすることにより、納税義務者において、法第 127 条第 2 号又は同条第 3 号に掲げる行為を行うことを助長することが合理的に推認される場合。
(2) 事前通知をすることにより、納税義務者において、調査の実施を困難にすることを意図し逃亡することが合理的に推認される場合。
(3) 事前通知をすることにより、納税義務者において、調査に必要な帳簿書類その他の物件を破棄し、移動し、隠匿し、改ざんし、変造し、又は偽造することが合理的に推認される場合。
(4) 事前通知をすることにより、納税義務者において、過去の違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、質問検査等を行う時点において適正な記帳又は書類の適正な記載と保存を行っている状態を作出することが合理的に推認される場合。
(5) 事前通知をすることにより、納税義務者において、その使用人その他の従業者若しくは取引先又はその他の第三者に対し、上記(1)から(4)までに掲げる行為を行うよう、又は調査への協力を控えるよう要請する(強要し、買収し又は共謀することを含む。)ことが合理的に推認される場合。
かなり悪いことをしている、もしくはするだろうという見込みがなければ無予告調査は行われません。
もし無予告調査に入られた場合は通達に合致しているか調査官に問いただしてもいいかもしれません。
理由が確実に開示されるわけではありませんが、すくなくとも「言いなりになる納税者(税理士)ではなく、正当な反論をしてくる納税者(税理士)」と見てもらえます。(これにより対応を変えてくる調査官は多いです。)
無予告調査が来た際の正しい対処法
まず前提として、税務調査は事実上断ることが出来ません。
しかし、税務署が提示してきた日時場所で絶対に調査を受けなければならないかというと、そうではありません。日程の変更などは単なる調整であって調査の拒否ではないのです。
そのため無予告調査が来た場合に「他の日時にしてください」というのは「拒否」ではない為可能なのです。
ここで具体的な対処法を記載します。
①調査官を事業所内に入れない
調査官が突然来た場合、事業所内に入れてしまうとその場で調査を受け入れたのと同じと解釈されます。
突然税務署がきたら入口付近で待たせたまま「顧問税理士に連絡しますのでそのままで少々お待ち下さい」と伝えましょう
②今日は税務調査を受けられない旨を伝える
あくまで「今日は」税務調査を受けられないと伝えましょう。社長が今日一日何も予定が無いという方が稀ですから、「別の予定が入っているので別日にお願いします」という言い方で問題ありません。
③可能であればその場で税務調査の日程を決める
上記の流れを受けながら「〇〇日であれば大丈夫です」と伝えられれば完璧です。
こうすることで「税務調査を受ける事自体には協力的」という姿勢が明らかになります。
対処法は社内で共有を
無予告調査でトラブルになりやすいのは「従業員が勝手に調査官を事務所に入れてしまった」ケースです。
これは税務調査を受け入れたと解釈される可能性があります。
常識のある方でしたら税務署が来たら社内に通すのが普通です。
社長は対処法を知っていたのに、あっけなく調査が開始されてしまった、というケースもあり得ます。
そうならない為にも、上記の内容は従業員にも周知徹底をしましょう。
太田和之税理士事務所では税務調査対策に力を入れております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。