太田和之税理士事務所

税務調査Q&A

税務調査Q&A

税務調査により調査官より「個人の通帳を見せてください」と言われたのですが、見せなければいけないのでしょうか。

結論を申し上げますと、必ずしも見せる必要はありません。しかし、無理に拒否するとむしろ不利益を被る可能性があります。

法人の調査で代表者の個人通帳を見せることを求められることは多々あります。疑問に思いながらも明確に反論できる社長はほとんどいないと思います。

国税通則法では納税者が提出しなければならない帳簿書類を 【その者の事業に関するもの】と明確に限定されています

よって法人の場合は、「法人の事業に関係のない」のであれば代表者の通帳を見せる必要はないと解釈できます。
ただし、法人と社長個人で金銭のやり取りがある場合は見せる必要があります。これは社長個人が法人の反面調査先ととらえることが出来るからです。(もちろんその場合でも生活費用の通帳は見せる必要がありません)
また、個人事業主の場合も事業用の通帳と生活費用の通帳が明確に分かれていれば生活費用の通帳は見せる必要はありません。

この場合で問題になるのは、調査官が「個人の通帳を見なければ、そもそも事業に関するものかどうかがわからない」と主張してくることです。
たしかにこの主張には一理あるように思えます。

これに対して国税庁は以下のように回答をしています。

「法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。」

ここは解釈の問題があるとは思いますが、「事業関連性が疑われる場合に~」という記載がある以上、疑われる要素の無い個人の通帳は質問検査権の範囲外と考えられます。

ただし、本当に疑わしい場合は税務署は銀行へ照会をかけることが出来るという事を忘れてはいけません。
結局調査官はその気になれば見ることは出来ますし、この場合は拒否した事自体が調査官の心証に悪い影響を与えます。
調査官の言う事全てに応じる必要は勿論ありませんが、逆に抵抗し過ぎると不利益を被る事もありますので注意しましょう。

税務調査で質疑応答記録書という書類に署名をするよう求められました。応じなければいけませんか。

応じる必要は全くありません


質疑応答記録書は重加算税の賦課や個人的な支出を法人経費としていた等の「自供」を取りたいときに使われる事が多いです。
調査官は「自供」を証拠に追徴課税しようとしているのです。

逆にいえば調査官が「自供が無ければ課税が難しい」と考えて署名を求めてきているとすら考えられます。

 

この質疑応答記録書への署名は「断ることが出来る」と国税の内部通達に明確に記載されており、かつ断ったからと言って不利益な取り扱いをしてはならないと行政手続法に記載されています。

 

署名するメリットは基本的にはありませんので、根拠を示して明確に断りましょう。


どのような会社が税務調査に入られやすいのでしょうか。

一般的には「黒字の会社」「決算書の数字で異常値が出た会社」「特定の業種」「過去に重加算税を受けた会社」が狙われます


1.黒字の会社
  税務調査も費用対効果を考えて実施されます。
  赤字(特に欠損金の大きい会社)は多少のミスを見つけても税金を取れない事も多いです。
  従って、黒字の会社の方が入られやすくなります。
  ただし、法人の決算が赤字であっても「消費税」や「源泉所得税」について見られる可能性がありますので、
  「どうせ赤字だから調査はないだろう」という考えは絶対にしてはいけません。

2.決算書の数字で異常値が出た会社
  異常値には「その会社の前期の比較して異常」と「同業他社の平均数字と比較して異常」の二種類があります。
  例えば「大きな理由もなく昨年に比べて原価率が跳ね上がっている」「同業他社に比べて人件費率が異様に高い」
  等の場合は不正な経理が行われている可能性があります。
  このような場合は「とりあえず行ってこい」となるようです。

3.特定の業種
  これは真面目に経営している納税者からすればやや理不尽かもしれませんが、
  統計的に不正が多い業種というものが存在します。
  具体的には「バー」「パチンコ」「土木工事業」等です。
  これらの業種は不正発見割合が高い為、税務署にマークされています。

4.過去に重加算税を受けた会社
  過去に悪質な所得隠しを行った場合、要注意先として税務署のデータベースに記載されます。
  このような会社は繰り返し不正を行う可能性も高い為、再度調査が入りやすくなっています。
  

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