太田和之税理士事務所

節税対策

節税対策(法人)

法人の節税には大きく

1.特別控除といった制度を活用し、税金を減らす
2.経費を多く計上する

の2種類があります。

「1.特別控除といった制度を活用し、税金を減らす」は純粋に納税額を減らすことが出来ます。非常に効果の高い節税ですが、難点として
①制度毎に要件を満たす必要がある
②活用できる制度に限りがある
③事前の登録が必要なものや専門的な知識を必要とし、税理士などの専門家に依頼する必要がある。
という点があります。

対して「2.経費を多く計上する」はかなり使い勝手がよく。こちらは種類も豊富で単年度あたりで言えば多額の節税効果があります。一般的に「節税」といえばこちらになります。
ただし、この多くは「将来の経費を前倒しにする」ものであり、「今年節税できた分翌年以降増税になる」ものが殆どです。そのため税金の出口戦略が必要になります。

翌年以降増税になるのであればトータルで税額が変わらないのでは?という疑問を持たれるかもしれませんがそうではありません。

例えば
1年目300万円の黒字
2年目300万円の赤字
の場合を考えてみます。
1年目は300万の利益ですから、その30%のおよそ90万円の税金を収める必要があります。 2年目は利益が出ていないので税金は0円です。よって合計90万円税金を納める必要があります。

しかし、2年目の経費を200万円だけ1年目に入れることが出来たとしましょう。
すると
1年目100万円の黒字
2年目100万円の赤字

となり、1年目は100万円の30%の30万円の納税、2年目は0円の納税で合計30万円の納税になります。

このケースでは90万円から30万円まで税金を下げることが出来ました。
このように出口戦略さえしっかりとしていれば全体の税額を下げることが可能なのです。

1,特別控除といった制度を活用し、税金を減らす の例

所得拡大税制

従業員の給与を上げると、増加額の10%の税額控除を受けることが出来ます。

投資促進税制

機械等を購入した場合、購入額の7% の税額控除を受けることができます。

2、経費を多く計上する の例

■短期前払い費用の特例
1年以内の前払い費用は一定の条件の下で全て支払った期の費用とする事ができます。
例えば事務所の家賃を毎月払っている場合において、大家さんに支払い月を毎月から年払いに変えてもらいます。
すると払った月に翌1年間分の家賃を経費として計上することが出来るのです。
決算月に年払いにして場合は、それまでの毎月分の家賃+ 来年1年分の家賃=2年分の家賃をその年の経費として計上することが出来るのです。

ただし、短期前払費用の要件はいくつかあり、

1.一定の契約に従って、継続的に役務提供を受けるものであること、つまり等質等量のサービスがその契約期間中継続的に提供されるものであること
2.支払日から1年以内に役務提供を受けるものであること
3.継続適用すること
4.重要性の乏しいものであること
5.費用収益が対応しないものであること
6.現実に対価として支払ったものであること

等が挙げられます。
要件を間違えると後が怖いので、適用する場合は必ず税理士さんに相談しましょう。

倒産防止共済とは取引先が倒産した際に中小企業が連鎖倒産するのを防ぐために設けられたもので、売掛金が回収できなかった額と掛け金の10倍のいずれか低い金額まで貸し付けを受けられる制度です。
なぜこの制度が節税になるかというと

①掛け金はすべて経費として計上できる
②40カ月以上掛ければ解約時に掛け金が100%返ってくる
からです。

掛け金は月に5000円から20万円まで選ぶことができるので、20万×12カ月=240万円を経費にすることができます。
さらに翌年1年分の保険料を前払いすることもできるので、決算月に翌年分の保険料を前払いすると、上記の短期前払費用の特例により来年分の保険料240万円を費用に計上することができます。
つまり、毎月お支払い240万円(20万円×12カ月)+ 翌年分の前払い240万円=480万円を費用として計上することができます。

この制度の利点は
①決算が近くなってから翌年分前払いするかどうか判断できる
②払った金額が基本的にはそのまま帰ってくる(民間の保険だとある程度目減りします)
③解約した際には戻った保険料は利益になるので、赤字を避けたい時に解約することで銀行対策もできることにあります。

役員に賞与を出すことで法人税を節税する方法をお話しします。

通常役員に賞与を出しても経費にする事は出来ません。これは利益操作を避けるため役員の給与は毎月一定額でないといけない、というルールによるものです。
しかし一方で「利益操作に繋がらなければ役員に賞与を出してもいいよ」というルールも存在します。これが事前確定届け出給与と言われるものです。
決算確定の日から1月以内に税務署に「何月何日に何円誰誰に賞与を出します」と届け出をし、その通りにしなければなりません。
この届け出と支払日や支払金額が少しでも違っていたら、支払った賞与は全て経費にならない、というペナルティがあります。
「届出通りに賞与を出さないといけないなら、結局節税にはならないのでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、そこはやりようがあります。

例えば決算月に100万円の賞与を社長に出すとして届け出をします。
利益が100万円以上出る見込みなら届け出通りに賞与を出して100万円を経費に計上します。
利益が出ない見込みなら賞与を取りやめます。そもそも賞与を払っていないのでペナルティもかけられようがないという状況です。

つまり、
①届け出通り賞与を出す
②賞与は1円も出さない
という2 択であれば、ペナルティ無しで節税対策ができるのです。

税法上役員報酬を変更した場合、その差分は損金になりません。つまり役員報酬を増額しての節税は原則として不可能です。

「原則として」と書いたのは、何事にも例外があるからです。
決算期までまだ数ヶ月ある。でも役員報酬を変更したい。
実は簡単に役員報酬を変更して、その全額を損金にする方法があるのです。
それは「決算期の変更」です。
3月決算の会社が年末近くなって、業績が予想より上向いてきたとしましょう。今後も利益が出ることが予想されます。そんな時は決算期を12月にしてみましょう。12月が過ぎれば、あたらしい年度の始まりです。堂々と役員報酬を変更することが出来ます。
決算期の変更は登記の必要もなく、税務署に届けるだけで簡単に変更可能です。

突然大きな買い物をするなら消費税の還付を受けられるかも
1億円の建物を買ったとします。消費税が本則課税なら建物に係る消費税1000万円の還付をうけることが出来ます。
しかし、この還付を受けることが出来ない人もいます。例えば消費税の免税事業者です。
実はこの消費税の免税事業者も還付を受ける方法があります。消費税の課税事業者選択届出書を提出すれば次の期から課税事業者になるので大きな買い物をしたときは還付を受けることが出来ます。
しかし、これは購入する前の期までに届け出なければなりません。突然大きな買い物をすることが決まった場合は還付を受けることが出来ないのでしょうか。

実は一つだけ方法があります。課税事業者選択届出書を提出の上決算期変更し、今期を終わらせてしまうのです。
今期が終われば来期は課税事業者です。堂々と大きな買い物をして還付を受けましょう。

中小企業の場合は、30万円未満の少額資産についても300万円までは当期に経費計上することが可能であるため少し高額な資産を購入し、その全額を費用にすることも可能です。
例えば、少しスペックの高いパソコンなどがこれに該当します。

出張の多い会社であれば、出張旅費規程を作成している場合も多くあります。
移動手段や宿泊先、日当などの取り扱いを社内で作成しておけば、規定通りの支払いかたをすれば経費として認めてもらうことができます。

例えば、すでに捨ててしまっている資産がそのまま貸借対照表に計上されている場合であれば、除却の処理を行うことで、経費として取り扱うことが可能です。

歴史のある会社であれば、すでに倒産してしまったゴルフ会員権や契約解除したはずの生命保険に関わる保険積立金が計上されたままになっている場合資産の多い会社であれば、壊れて捨ててしまった機械等(減価償却資産)をそのまま計上している場合などが多く存在します。

一定程度経過している法人であれば、過去の清算ができていない場合が存在しますが、歴史の浅い会社であればそれほど存在しないケースが多いです。

節税対策(個人)

個人の所得税は税率が5%~ 45%と実に9倍(!)も開きがあり、さらに所得の種類によって所得金額を50%offで計算できるものや、特別控除が認められるものもあります。
したがって、個人の節税を考える場合、「いつ・どのように」お金を受け取るかを調整する必要があり、その最適化は非常に複雑なものになっています。

しかし、一般に「やればほぼ間違いなく得する」というものはある程度出揃っていますので、まずは下記の対策をするのが王道といわれています。

①青色申告(個人事業主向け)

確定申告には、青色申告と白色申告があります。
青色申告では、決められた帳簿に日々の取引を正確に記録し、その帳簿記録に基づいて所得と税額を計算することを事業主に義務づけています。そのかわり、青色申告特別控除など節税につながる特典をあたえているのです。

青色申告の特典としては例えば以下のものがあります。

青色申告特別控除

事業について65万円分の控除を上乗せすることが出来ます。
最低税率の所得税5%、住民税10% で計算しても約10万円の税金が安くなる計算です。個人事業主の場合は国民健康保険にも影響します。健康保険はお住いの市町村により率が異なりますが、低めの10%で計算しても6.5万円保険料が安くなります。
お住いの市町村によっては、20万円近い節税になりますので、白色申告をするくらいだったら税理士を雇って青色申告をした方がトータルでの費用は安くなることも多いです。(小さな事業であれば20万円もあれば税理士は雇えるでしょう)

専従者給

家族が従業員として働いている場合、その給与は青色事業専従者給与として適正な範囲内までは必要経費に算入できます。
所得は分散するほど税率は下がります。また、給与所得控除(55万円) も使えますので、所得を一人に集中させるよりは圧倒的に税額が安くなります。

欠損金の繰越控除

もし事業が赤字になってしまった場合、その赤字を3年間繰り越すことができます。利益の振れ幅が大きい事業ですと、繰越控除するかしないかで税額は全く別のものになってしまいます。

償却方法の特例の適用

白色申告では10万円以上の備品は固定資産として計上しなければなりませんが、青色申告をしていれば30万円未満の資産は全額費用とすることが出来ます。

②小規模企業共済の活用(個人事業主・会社員)

小規模企業共済とは、個人事業主もしくは一定の小規模法人の役員向けの退職金積立制度です。
月7万円を上限として、支払った金額の全額を所得控除できます。

月7万円積立てる場合、課税所得が400万円のひとなら241300円、600万円なら255,600円、800万円で281,200円、1000万円で367000円の節税効果があります。(所得税住民税合わせて)掛け金は1000円から500円単位で設定が出来、共済金の受け取りは一括受け取りを選択すると退職金扱いになり非常に低い税率で共済金を受け取ることができます。
分割で受け取る事もでき、その場合は年金として扱われるので、公的年金控除お受けることができるので、やはりかなり低い税額ですみます。

デメリットとして途中解約した場合、その掛け金月数が20か月未満であると元本割れしてしまうことがあります。
短期解約で元本割れが発生するのは任意解約の時のみで、事業が廃止した・法人の役員を辞任した、等の「しかたがない」場合は満額戻ってきます。
あくまで自己都合の解約の時のみ元本割れすると考えてください。

節税対策Q&A

会社役員ですが、節税できますか?

役員の方であれば小規模企業共済の活用がお勧めです。年間84万円まで所得控除が出来ますので、所得によっては40万円以上税金が安くなります。

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