太田和之税理士事務所

コラム

令和4年度税制改正大綱①~所得税編~

2021年12月13日

12月10日に令和4年度の税制改正大綱が公表されました。

多くの税理士さんがそうだとおもうのですが、私もこの土日でようやく読み終わりました。

これから何回かに分けて今回の税制改正大綱で実務的に重要な点についてピックアップして解説したいと思います。

今回は所得税についてです。

 

・住宅ローン控除の改正

住宅ローン控除自体は延期となり、令和4年以降に住宅ローンを組んで自宅を購入しても対象となりました。

しかし、控除率は現状の1%→0.7%に変更になります。住宅ローン金利が下がり控除率と逆転したことによる「逆ザヤ」対策です。

 

元々変更されるされると言われていましたから分かっていた範囲ですね。確か当初案では「支払利息の額を上限とする」だったと思うのですが、一律0.7%に変更のようです。

住宅ローンは金利の中に団信分も入っていたりするので、それに対応した形かなと。

 

また、借入限度額も減少され、適用対象者の合計所得金額上限も3,000万円から2,000万円に下がります。

全ては例示しませんが、認定住宅等以外の場合ですと

 

居住年が令和4~5年の新築家屋の場合

・借入限度額  3,000万円

・控除率    0.7%

・控除期間   13年

 

居住年が令和6~7年の新築家屋の場合

・借入限度額  2,000万円

・控除率    0.7%

・控除期間   1年

 

居住年が令和4~7年の新築家屋の場合

・借入限度額  2,000万円

・控除率    0.7%

・控除期間   1年

 

となります。

 

・上場株式等の配当所得割に係る課税方式の改正

現状、配当金の課税方法は所得税と住民税で違う方法をとれるのですが、これが廃止になります。

最近違う課税方式が取れるようになったばっかりなのに!というか、来年から所得税の申告書で「住民税は違う方式で申告します」が出来るようになるのに!!

 

これにより「所得税は総合課税で配当控除をとり、住民税は申告不要」といった節税テクニックは出来なくなります。

住民税は様々な行政サービスの判定に使われるので、地味に大きい改正です。もう気軽に配当控除をオススメ出来なくなりました。

 

 

・子会社等からの配当にかかる源泉所得税の廃止

完全子法人等が令和5年10月1日以降に支払いをする配当について、所得税の源泉徴収を行わない事にします。

大法人の子会社の方等は資金繰りに影響があるのではないでしょうか。

 

 

・納税地の変更に関する届出書

納税地が変更した場合に税務署長に提出していた異動届ですが、令和5年以降は不要になるそうです。

地味に助かる改正です。

 

 

所得税で実務に大きな影響があるのは住宅ローン控除と配当金の課税方式ですね。特に住宅ローンは今後の景気にも影響しそうな改正です。

次回は法人税について解説する予定です。

 

太田和之税理士事務所では毎年の税制改正に対応しております。

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