コラム
青色申告取消しの要件③
2022年3月30日
前回までで青色申告の取消しの法的・実務的要件の解説をしました。
今回は青色申告が実際に取消される現実的なケースについて説明いたします。
少なくとも私が立ち合いをした調査で「青色申告を取消しますよ」は脅しで言われたことしかありません。最悪のケースを想定させて有利な条件を引き出すのは交渉事の基本です。
そもそも青色申告を推奨する立場の国税がその取消しを軽々と行うはずが無い、と考えるべきです。
実際に青色申告の取消しが行われるのは下記のケースに限られるでしょう。
法人が2期連続で無申告、若しくは期限後申告の場合
この場合は調査というよりも事務処理として取り消しが行われます。
税理士がついていればこのような事態はまず起こりません。もし決算が2か月で間に合わない事情があれば延長法人の申請も検討しましょう。
なお、時々勘違いされている方もいらっしゃいますが、2期連続期限後申告で青色が取り消されるのは法人だけです。個人にはそのような規定はありません。
原紙資料が破棄されており「推計課税」によって税額を決定せざるを得ない場合
推計課税とは原紙資料が無い場合に何か特定の金額・割合から「推計」で税額を算出する方法です。
例えば同業他社の粗利率だったり、資産の増加状況等を基にすることも有ります。
しかし、この推計課税、簡単に摘要する事は出来ません。推計課税を適用するには次の三つの要件を満たす必要があるからです。
(1)内国法人(居住者)が対象であること
(2)更正(決定)する場合にだけできる
(3)青色申告者にはできない
そうです。青色申告者には推計課税が適用されないのです。
なので、「原紙資料が無い等でどうしても推計課税を利用しなければならない」ケースでは過去に遡って青色申告を取消し、推計課税を行う事になります。
ただし、実際の調査では原紙資料が無くても(本当の意味での)推計課税を適用しない事が多いです。
所得や税額の確定の為に推計という方法を用いたとしても、納税者が修正申告するのであれば更正(決定)する必要が無いからです。
3回に青色申告の取消しについて解説してきましたが如何だったでしょうか。
抑えていただきたいポイントとしては
・調査官の「青色を取消しますよ」ほほぼ脅し
・事務運営指針に照らし合わせれば、実際に取消されないケースが多い
・たとえ資料を紛失してしまっているような場合でも、調査に協力的であれば「青色申告の取消し」という事態には殆どならない
の3点です。
このポイントを押さえていただければ、青色の取消を無闇に怖がる事はないでしょう。
太田和之税理士事務所では税務調査対策に力を入れております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。