コラム
青色申告取消しの要件②
2022年3月24日
前回のコラムで青色申告が取り消される要件は下記の4つであると説明しました。
①帳簿の備え付けがされていない場合
②税務署長の指示に従わなかった場合
③その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由がある場合
④申告書を提出期限までに提出しなかった場合
今回は③要件の実務的な解釈について説明したいと思います。
③の要件は事務運営指針によって下記のように示されています。
3(1)青色申告の承認を取り消す場合
無申告のために所得金額の決定をした場合又は所得金額の更正をした場合において、その事業年度の当該決定又は更正後の所得金額(以下「更正所得金額」という。)のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額(以下「不正所得金額」という。)が、当該更正所得金額の50%に相当する金額を超えるとき(当該不正所得金額が500万円に満たないときを除く。)。
文字だけですと非常に分かりづらいので、具体的な金額をつかって例示します。
A 当初申告した所得金額:1,000万円
B 更正後の所得金額:3,000万円
C 仮装隠ぺいした所得金額:1,000万円
まず「(当該不正所得金額が500万円に満たないときを除く。)」と記載されている不正所得金額とはCの仮装隠ぺいした所得金額の事です。
したがいまして、Cが500万円未満であれば青色申告が取り消されることはありません。
次に「隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額(以下「不正所得金額」という。)が、当該更正所得金額の50%に相当する金額を超えるとき」とは、CがBの50%を越えるときという意味です。
今回のケースでは
B×50%>C
ですので、やはり青色申告が取り消されることはありません。
纏めると
①A≧500万円
②B×50%<C
の両方を満たすと青色申告取消の定量的要件を満たすことになります。
調査官でも上記の基準を知らない方も多いです。
そのような場合は事務運営指針をもって反論しましょう。
太田和之税理士事務所では税務調査対策に力を入れております。
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