太田和之税理士事務所

コラム

国外居住親族に係る扶養控除

2022年10月27日

こんにちは、愛知県安城市にある税理士事務所、太田和之税理士事務所です。

 

令和2年年度改正によって令和5年以降は扶養控除の対象となる国外居住親族の範囲が見直されました。

実務上よく使う制度ですので、この機会に一度制度を纏めようと思います。

 

国外居住親族に係る扶養控除とは

一般の扶養控除と同様に納税者と生計を一にしている被扶養者が、非居住者として長期間海外で生活していても一定の要件を満たせば扶養控除が受けられる制度です。

 

扶養控除の要件

国外居住親族について解説する前に、まずは一般の扶養控除についておさらいをします。

扶養控除は下記の4要件を満たす扶養親族のうち16歳以上の人を対象としています。

 

①被扶養者が配偶者以外の親族である事

(税法上の親族とは「6親等内の血族及び3親等内の姻族」をいいます)

②納税者と生計を一にしている事

③合計所得金額が48万円以下であること

④青色申告の専従者として給与の支払いを受けていない事、及び白色申告の事業専従者でないこと

 

国外居住親族に係る扶養控除の要件

国外居住親族に係る扶養控除は上記一般の扶養控除の要件に加え、

⑤国外居住親族に係る「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出する事

が必要になります。

 

親族関係書類とは

親族関係書類とは具体的には下記の物を指します

① 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写し

② 外国政府又は外国の地方公共団体(以下「外国政府等」といいます。)が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

 

送金関係書類とは

送金関係書類とは具体的には下記の物を指します

① 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類

② いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類

 

ここで注意が必要なのは、これら金関係書類は国外居住親族各人に必要という事です。

例えば海外に居住している両親を扶養に入れるためには父親・母親の双方の口座に送金を行わなくてはなりません。

例えば手数料削減のために父親の口座に2人分の生活費を送金した場合は母親の扶養は認められない事になります。

 

改正の内容

国外居住親族に係る扶養控除の適用について、所得要件の判定につき国内源泉所得(国内での収入)が用いられていることから、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされていることを背景に適用対象者の改正が行われます。

 

30歳以上70歳未満の扶養親族については下記のいずれかにも該当しない者については扶養控除の対象外となる

①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者

②障碍者

③生活または教育に充てるため年38万円以上の支払いを受けている者

 

①に該当する場合は「留学ビザ等書類」が、③に該当する場合は「38万円以上の送金書類」が追加で必要になります。

 

 

 

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