コラム
外注費と給与
2024年6月25日
こんにちは、愛知県安城市にある税理士事務所、太田和之税理士事務所です。
7月は税務署の人事異動の季節です。
新しい転勤先の税務署で、「早々に税務調査で重加算税の対象となるような大きな不正事案を発見したい!」とでも考えるのでしょう。
この異動直後の7月8月の調査が一番厳しいものになるといわれています。
今回は税務調査で度々論点になる「外注費と給与」について解説したいと思います。
というのも「外注費と給与」は境が曖昧であり、「こうだったら外注費」「これなら給与」と明確に分けられるものではありません。
通達上は「労働を行う者の実態で決まる」とされており、契約書があるからといってその通りの処理をされるものではないのです。
そのため調査官も「言ったもん勝ち」とばかりに「はいこれ給与ですね」と指摘してきます。
相手の言葉に惑わされないようにしっかり理屈を頭に入れておくことが重要です。
外注費
外注費は、企業が特定の業務を外部の事業者に委託し、その対価として支払う費用です。外注先は独立した事業者であり、契約によって業務を遂行します。
特徴としては
・外注先は自身の判断で業務を遂行。
・成果物の納品が主な契約内容。
・自己の事業所得として処理。
といった点が挙げられます
給与
給与は、企業が従業員に対して労働の対価として支払う報酬です。従業員は企業の指揮命令下で業務を遂行します。
特徴としては
・業務内容や勤務時間が企業により管理。
・毎月一定の金額が支払われる。
・所得税、社会保険料の控除が必要。
といった点が挙げられます
区別のポイント
・労働者の代替不可能性
外注の場合は「成果」さえ提供できれば、その過程に関わらず報酬を請求できます。
このため、例えば外注先が他人に仕事を再依頼しても問題ありません。
このように他人が代替できる場合は、外注であると判断される可能性が高くなります。
一方で雇用は本人が仕事に従事する対価を給与として支払う契約であるため、基本的には他人に仕事を依頼することはできません。
・指揮命令権の程度
外注の場合は依頼主から仕事のやり方などの指揮監督を受けません。
依頼主の指示に縛られていなければ、外注であると判断される可能性が高くなります。
一方で依頼主指示に従って業務をおこなう場合は、給与と判断される可能性が高くなります。
・報酬の請求権程度
外注の場合はどのような理由であっても結果が出なければ報酬が支払われません。
このような状況の場合には、外注であると判断される可能性が高くなります。
一方で成果物が無くても報酬がもらえる場合は、給与と判断される可能性が高くなります。
・物品の支給
外注の場合は成果を出すための材料や道具は、外注先自ら用意することが一般的です。
材料が支給されていなければ、外注であると判断される可能性が高くなります。
一方で支給されている場合は、雇用関係にあるとして給与であると判断される可能性が高くなります。
実際の税務調査では上記の4点を総合的に判断することになります。
否認された場合
では税務調査で外注費を給与だと否認された場合は税額にどのような影響があるでしょうか
・消費税
給与は仕入税額控除が認められないため、その分消費税額を支払う必要があります。
・源泉所得税
支払金額が給与という扱いになるため、これに対応した源泉所得税を支払う必要があります。
太田和之税理士事務所では税務調査対策に力を入れております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。