コラム
クレジットカードの明細書は領収書の代わりになりますか?
2023年7月13日
こんにちは、愛知県安城市にある税理士事務所、太田和之税理士事務所です。
インボイス制度開始まであと3か月を切りました。
現場では大きな混乱が予想されています。
近年課税庁は「消費税には厳しく対応する」と明言しており、例えば消費税の還付が発生する申告をするとかなり高い確率で税務調査が入っています。
また、税務調査においては今までなぁなぁで許されていた部分にもメスが入り、税務署の本気がうかがえます。
そこで今回は今までなぁなぁで許されていた消費税の制度の代表格である「クレジットカード明細による仕入税額控除」について解説いたします。
クレジットカード明細があれば領収書は捨てていいですか?
お客様からよく「クレジットカードで支払いをした経費はカード明細で内容が分かるので領収書は捨てていいですよね?」と聞かれることがあります。
これは法律上明確にNGです。
消費税の計算上、請求書等(領収書も請求書等に含まれます)を保存していない経費は消費税の控除(仕入税額控除)を受けることが出来ません。
そしてクレジットカードの明細は「請求書等」とは認められていないのです。
消費税の仕入れ税額控除を受けるための要件
消費税法では、仕入税額控除を受けるための要件として次のような規定を設けています。
事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(※)を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れに係る課税仕入れ等の税額については、適用しない(仕入税額控除できない)。
※「請求書等」とは、次に掲げる書類をいいます。
事業者に対し課税資産の譲渡等を行う他の事業者が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次のイからホまでに掲げる事項が記載されているもの
イ 書類の作成者の氏名又は名称
ロ 課税資産の譲渡等を行った年月日
ハ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(当該課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
ニ 税率の異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額
ホ 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
少し分かりにくいですが、かみ砕くと
請求書等とは「商品(又はサービス)を売ったお店が発行する」もので、「売ったお店の名前」「売った日」「何を売ったか」「税率ごとに記載した金額」「お金を支払った人の名前」が記載されている必要がある
となっています。
クレジットカード明細はクレジットカード会社が作成するものですので「商品(又はサービス)を売ったお店が発行する」に該当せず、また「何を売ったか」「税率ごとに記載した金額」の記載も無いので請求書等にはなりえないのです。
いままでは大丈夫だった?
「前の税理士さんは大丈夫だって言ってた!税務調査が入った時も何も言われなかった!」
という反論もよく聞きます。
しかし、税務調査で何も言われなかったのは「少額だから無視した」「他に指摘事項があったので、そちらを優先した」等の理由があったのでしょう。
特に昔は「そんな厳しいことを言わないでも・・・・」とお目こぼしをしていたと聞きます。
そしてその感覚を忘れられない税理士さんは「クレジットカード明細だけでも大丈夫だよ」と言ってしまうのです。
しかし最近は消費税に関しては厳しく見られる事が多く、またインボイス制度開始によりさらに厳しくなることが予想されます。
最終的に税務調査で税金を払うのは自分自身です。
例え顧問税理士が「領収書は捨てても大丈夫」といったとしても、必ず取っておくようにしましょう。
太田和之税理士事務所では様々な税務の相談にも対応しております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。