コラム
無予告調査の要件
2023年7月21日
こんにちは、愛知県安城市にある税理士事務所、太田和之税理士事務所です。
先日、有名Youtuberに査察が入った事が大きな話題になりました。
「税務調査くらい誰でも入るものじゃないの?」
という声も一部でありましたが、これには少し誤解があります。
税務調査は、税務署が行う所得税や法人税等に規定されている質問検査権により行う「任意」のものです。この場合通常は事前に連絡があります。
査察は、国税犯則取締法に基づく「強制」的な調査で、臨検、捜索、差押等の権限があり、悪質な脱税を摘発することを目的としています。
映画「マルサの女」は「査察」を舞台としているので、一般の方は税務調査と言ったらこちらのイメージの方が強いかもしれません。(「ササツ」の頭の「サ」をとって「〇サ」「マルサ」です)
今回の有名Youtuberの件は「査察」ですので、通常の税務調査よりもかなり強い権限のもと行われています。
かなり悪質な脱税が行われたと判断されたようです。
さて一般的な税理士はこの「査察」には詳しくありません。私も顧問先が査察に入られた経験はありませんし、知り合いの税理士にもそのような方はいません。
当たり前と言えば当たり前ですが、まともに税理士が入っていてまともに申告していれば査察が来るような事態にはならないのです。
本来は「査察」について解説したいのですが、この分野に関してはなにぶん私が知識不足なものですので、今回は査察と混同されやすい「無予告調査」について解説させていただきます。
無予告調査とは
最初に書きましたが、税務調査は質問検査権により「任意」で行われます。通常事前に税務調査がある旨連絡がります。
ところが事前通知をすることで帳簿の改ざんや証拠の隠滅など不正な行為が行われる可能性があり、正確な課税額の把握や適正な調査を実行できないおそれがある場合は例外として無予告で調査を行う事も認められています。
(国税通則法第74条の10)
具体的には飲食店等の現金商売の場合は無予告調査が実施されることが多いです。これは売上が振込によるものではなく現金で受け渡しが行われるため、事前に税務調査が入る旨の通知があれば、税務調査当日までに売上等を調整できてしまう可能性があるからです。
無予告調査と査察の違い
無予告調査と査察は突然調査官が来るという点で一致しています。そのため混同される方が多いようです。
しかし査察は強制捜査ですが、無予告調査は任意調査ですので強制力はありません。
したがいまして、交渉により調査日程を変更してもらう事も可能です。(受忍義務がありますので、調査自体を受けないというのは実質不可能だと思ってください)
もし無予告調査がきたら
調査官を店舗やオフィスに入れず、外で待機してもらう
調査官を店舗やオフィスの中に入れると税務調査を受け入れた判断されてしまいます。
無予告で調査官が訪問してきた場合は、外で待機してもらいましょう。
顧問税理士に連絡を
税理士と相談したい旨を調査官に伝え、税理士と連絡がつくまで外で待ってもらいます。
税理士が当日の調査に立ち会えるようであれば、税理士の到着を待ってください。
当日の立ち会いが難しければ税理士と調査官の間で日程調整をしてもらいましょう
無予告調査が来てもあせらず、通常の税務調査と同様に間に税理士を挟んで交渉をすると事がスムーズに運びます。
太田和之税理士事務所では税務調査対策に力を入れております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。